羽鳥
晋由の紹介
本名: | 羽鳥 晋由 | |
読み: | ハトリ クニユキ | |
性別: | 男 | |
生まれ: | 新潟県三条市 | |
e-mail: | khatori@yz.yamagata-u.ac.jp | |
好きなもの: | ワイン、Apple Mac、ラーメン、ピッツァ、自然、カラマーゾフの兄弟 |
好きなこと: | 空想、温泉につかって,はぁ〜ということ、雪道のドライブ |
ダメなところ: | ツマニヨワイトコロ、サケニノマレルトコロ |
特技: | 顕微鏡観察,薪割り |
困っていること: | 名前をよく間違えられること(例、羽島普由など) |
ギャラリ |
略歴 |
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1989年 | 長岡工業高等専門学校 機械工学科卒業 | |
1991年 | 長岡技術科学大学 機械システム工学課程卒業 | |
1996年 | 長岡技術科学大学大学院博士課程 情報制御工学専攻修了 博士(工学) | |
1996年〜 | 長岡技術科学大学 生物系 助手 | |
2005年〜 | 山形大学工学部 応用生命システム工学科 助教授 | |
2007年〜 | 山形大学大学院理工学研究科 応用生命システム工学分野 准教授 | |
2022年〜 | 山形大学大学院理工学研究科 機械システム工学分野 准教授 |
その他 |
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所属学会 | 日本生物物理学会 | |
専門 | 筋蛋白質の運動とエネルギー変換に関する研究 | |
キーワード | アクチン、ミオシン、ATPase、滑り運動、協同性、協調性、化学力学エネルギー変換、カルシウム調節、ゆらぎ |
研究の狙い |
筋収縮は、2種類の異なる蛋白質で構成された繊維がATP加水分解を伴いながらお互いに滑り合うことによって生じる。2種類の蛋白質のうちのひとつはミオシンと呼ばれていて、ATPase活性部位をもつことから力発生のモーターと考えられている。もう一方はアクチンと呼ばれ、球状の分子が重合して2重螺旋状の細い繊維を形成することで、細胞の形作りに役立っている。これらの蛋白質の滑りは、ミオシン頭部がATPを分解する過程で、その頭部と繊維内のアクチン分子とが結合解離を繰り返すような相互作用を行い、そして個々の相互作用よって生じる何等かの働きがコーディネートされることで実現される。相互作用による結果生じる働きとは、ミオシン頭部の構造変化であることが信じられている。-> Myosin Homepageへ ミオシン分子の構造変化の他に、アクチン繊維の構造が運動へ寄与することが示されており、特にアクチン繊維がもつ協同性は運動に関して重要な性質であると考えられる。つまり、ミオシン分子などのモーターの相互作用に対してアクチン繊維が構造変化または構造揺らぎのようなかたちで応答することで、モーター間の整合性がとられている可能性がある。(その他にも、繊維とミオシンとの界面での電荷の変化なども考えられる。)但し、協同性がどのような機構で実現されているのか、またに滑り機構との関係についてはまだ明らかではない。 私は、ATP濃度が低く、ミオシン分子の間でATP分子に対して競合が起こる条件、つまり運動が最適化される前の過渡的な状態において、モーター分子による協調的な働きがアクチン繊維を介して現れることを考えた。活性化されたミオシンによって励起されたアクチン繊維のゆらぎには運動を統制するための秩序が存在するのではないだろうか。 |
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図1:アクチン繊維の滑り運動 スライドガラス表面に固定されたミオシン分子上をATP存在下でアクチン繊維は一方向に滑り運動する。ミオシン頭部でATPが加水分解されるときに、アクチン繊維に対してミオシン分子は結合解離を繰り返す。アクチン繊維をローダミン標識することで、光学顕微鏡下で一本の繊維を観察できる(左の映像で白く映っているところがアクチン繊維)。アクチン繊維は、その長さに関わらず、約5マイクロメートル/秒の速度で滑る。このような蛋白質レベルで運動を観察する方法は“in vitro motiltiy assay”と呼ばれる。 |
図2:等方的なゆらぎから異方的なゆらぎへ ATP濃度の増加と共にミオシンによるATP加水分解速度及びアクチン繊維の滑り速度は増加する。しかしながら、ATP加水分解速度と滑り速度の間ではATP濃度感受性が異なる。ATP分解速度はATP濃度10uMで飽和するのに対して滑り速度は1000uMで飽和する。つまり、ATP加水分解速度が十分に上がった後に、一方向の運動が増加する。この特性に化学力学エネルギー変換そして分子間協調性に関わる問題が潜んでいるではないかと考えた。アクチン繊維の横方向のゆらぎを測定したとき、ATP濃度の増加によるATP加水分解速度の上昇と共に、そのゆらぎが増大することがわかった。更にこのゆらぎは、まったくデタラメなものではなく時間に対する履歴をもっていた。そして、このゆらぎは繊維長軸に沿って一方向に伝わることがわかった。これらのことは、ミオシン分子のATP加水分解に伴う相互作用によってこのゆらぎが発生し、協調的にアクチン繊維を揺さぶるようなミオシン分子間の連絡が行われていることを示唆する。(ref. 1, 3, 4, 6, 7) |
論文 (References) |
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1 | HATORI, K., TAMURA, T., KAWANO, K., TAMURA, M., HONDA, H.: Significance of kinetic degrees of freedom in operation of the actomyosin motor; BioSystems, 78 [149-158], (2004) | |
2 | HATORI, K., OKENO, Y., HONDA, H., SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Enhancing the staggered fluctuations of an actin filament sliding on Chara myosin; Biophys. Chem., 109 [345-350], (2004) | |
3 | HATORI, K., SAKAMAKI, J., HONDA, H., SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Transition from contractile to protractile distortions occurring along an actin filament sliding on myosin molecules; Biophys. Chem., 107 [281-286], (2004) | |
4 | HATORI, K., HONDA, SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Onset of the sliding movement of an actin filament on myosin molecules: from isotropic to anisotropic fluctuations; Biophys. Chem., 82 [29-33], (1999) | |
5 | HONDA, H., HATORI, K., IGARASHI, Y., SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Contractile and protractile coordination within an actin filament sliding on myosin molecules.; Biophys. Chem., 80 [139-143], (1999) | |
6 | HATORI, K., HONDA, H., SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Propagation of a signal coordinating force generation along an actin filament in actomyosin complexes; Biophys. Chem., 75 [81-85], (1998) | |
7 | HATORI, K., HONDA, H., SHIMADA, K., MATSUNO, K.: Staggered movement of an actin filament sliding on myosin molecules in the presence of ATP; Biophys. Chem., 70 [241-245], (1998) | |
8 | HONDA, H., TAGAMI, N., HATORI, K., MATSUNO, K.; Regulated crosslinked actin filaments and the decoupling between their ATPase activity and sliding motility, J. Biochem. 121 [47-49], (1997) | |
9 | HATORI, K., HONDA, H., MATSUNO, K.: Communicative interaction of myosins along an actin filament in the presence of ATP; Biophys. Chem. 60 [149-152], (1996) | |
10 | HATORI, K., HONDA, H., MATSUNO, K.: ATP-dependent fluctuations of single actin filaments in vitro; Biophys. Chem., 58 [267-272], (1996) | |
11 | HONDA, H., KITANO, Y., HATORI, K., MATSUNO, K.: Dual role of tropomyosin on chemical modified actin filaments from skeletal muscle; FEBS Letters, 383 [55-58], (1996) | |
12 | HATORI, K., HONDA, H., MATSUNO, K.: ATP hydrolysis and sliding movement of actomyosin complex in the presence of ethanol; J. Biochem., 117 [264-266], (1995) | |
13 | HONDA, H., TAMURA, T., HATORI, K., MATSUNO, K.: Decorating actin filaments with troponin T-I complexes and acceleration of their sliding movement on myosin molecules; Biochim. Biophys. Acta, 1251 [43-47], (1995) | |
14 | HONDA, H., NAGAO, S., HATORI, K., MATSUNO, K.: Slow and macroscopic modulation of thermal fluctuations in myofibrils; Biophys. Chem., 54 [61-66], (1995) | |
15 | HATORI, K., HONDA, H., MATSUNO, K.: ATP hydrolysis and sliding movement of actomyosin complex in the presence of ethanol; J. Biochem., 117 [264-266], (1995) |
羽鳥 晋由の紹介終わり (2009年3月26日)